Issue7
Current View on Urology Issue7
■前立腺がん
(1) CRPCに対するがんワクチン療法

Sipuleucel-T immunotherapy for castration-resistant prostate cancer.
Kantoff PW, et al.
N Engl J Med. 2010 Jul 29;363(5):411-22.

Sipuleucel-Tは自己の末梢血単核細胞(PBMCs)を、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子に前立腺酸性フォスファターゼをつなげた組換えヒトタンパク質(PAP-GM-CSF)で、活性化して投与する細胞免疫療法。512人の患者が2:1の割合でsipuleucel-T投与群または対照群に無作為に割り付けられた。対照群の全生存率中央値が21.7カ月であったのに対し、sipuleucel-T投与患者の全生存率中央値は25.8カ月と有意に延長した。

  • コメント
    CRPCの一つの治療オプションがワクチンの形で登場した。米国はワクチン創薬を戦略的にすすめている。高額医療であるが、米国のメディケア(高齢者向け国営保険)諮問委員会は、この治療の保険償還を推奨していることから、今後多くのがんワクチン療法が登場するであろう。


(2)還暦にPSA検診
Prostate specific antigen concentration at age 60 and death or metastasis from prostate cancer: case-control study.
Vickers AJ, et al. BMJ. 2010 Sep 14;341:c4521.

60歳の時点でのPSA値がその後の前立腺癌リスクに影響するか検討した論文。60歳時にPSAを測定した1167名を対象とし、85歳までフォローアップした。60歳でPSAが1以下の男性が85歳の時点で転移前立腺癌があるリスクは0.5%、前立腺癌で死亡するリスクは0.2%であった。60歳時にPSAが1以下の男性はその後のPSAスクリーニングは必要ないかもしれない。

  • コメント 
    PSAスクリーニングの意義をRCTで検討することは困難だが、このモデルのように、検診のない時代での自然史がわかると、長期的に見たPSAのcut offが分かる。ちなみにこのコホートでの前立腺癌死亡は全員60歳時点でのPSAが2.0以上で起きている。


(3)PSA検診が癌死亡を減少する
Mortality results from the Göteborg randomised population-based prostate-cancer screening trial.
Hugosson J, et al. Lancet Oncol. 2010 Aug;11(8):725-32.

PSAスクリーニングの前立腺癌死亡に対する効果を調べたRCT。50−64歳からなる20000人の住民を1:1に検診群と対照群に無作為に分け、検診群は2年ごとにPSAを測定した。検診群ではPSAが当初3.4で、その後2.5 ng/mlで生検を行った。検診群では12.7% に前立腺癌が発見され、対照群では8.2% であった。15年間の検討で検診により、前立腺癌死亡率は約40%減少した。

  • コメント
    PSA検診のRCTではヨーロッパのERSPCと米国のPLCOがあり、PLCOでは、対照群がどこかでPSA検査を受けてしまうコンタミネーションが問題になった。この研究の特徴として、Swedenでは、PSA検査がまだ一般的でないためコンタミが少ないこと、登録開始年齢の中央値が56歳と若いこと、生検を行う基準値が低いこと、またDREがスクリーニングに用いられていないことがあげられる。また検診群で発見されるLow-risk癌について、過剰治療をどうするか、学会でデーターを取り、いずれはガイドラインを作成する必要があるだろう。


(4) Low-risk癌ではactive surveillanceも治療選択肢に
Outcomes in localized prostate cancer: National Prostate Cancer Register of Sweden follow-up study.
Stattin P, et al. J Natl Cancer Inst. 2010 Jul 7;102(13):950-8.

70歳以下6849人のT1−2、グリソン7以下、PSA20以下の前立腺癌患者の癌特異的10年死亡率を治療法ごとに比較した。Low-risk癌では癌特異的10年死亡率がactive surveillanceでは2.4%、手術または放射線治療による局所治療群が0.7%であったことから、Low-risk癌ではactive surveillanceも治療選択肢のひとつと結論づけている。

  • コメント
    active surveillance群は他疾患での死亡が多くなっている。糖尿病や心血管疾患などの合併症があるLow-risk癌では、インフォームドコンセントが重要である。ただしintermediate−riskでは手術療法の生存率が最も良い。


(5)前立腺癌の集学的治療の意義
Does local treatment of the prostate in advanced and/or lymph node metastatic disease improve efficacy of androgen-deprivation therapy? A systematic review.
Verhagen PC, et al. Eur Urol. 2010 Aug;58(2):261-9.

局所進行、あるいは転移前立腺癌における内分泌治療についてのRCTにおいて、局所治療の意義をメタアナリシスした論文。局所療法を伴わない内分泌治療では、即時療法は遅延療法に対して、前立腺がん死亡率への効果は小さかった。(HR: 0.79; 95% CI, 0.71-0.89). 一方、ハイリスク局所癌、あるいは局所進行癌に対する放射線治療、あるいは前立腺全摘後リンパ節転移陽性であった場合に、内分泌治療を即時にそして長期に併用すると死亡率が大きく減少した。 (HR for OS: 0.69; 95% CI, 0.61-0.79) T3またはN1癌では局所療法に即時内分泌併用療法を行うと前立腺癌死亡が減少する。

  • コメント
    比較的年齢が若いT3癌での放治には、即時内分泌治療ということになる。
    同じような内容を既にWalshが議論している。J Urol. 2001 Aug;166(2):508-15; discussion 515-6.


(6)指の長さが前立腺癌のリスクファクター
Second to fourth digit ratio: a predictor of prostate-specific antigen level and the presence of prostate cancer.
Jung H, et al. BJU Int. 2010 Aug 4. [Epub ahead of print]

第2、4指の長さの比(2D:4D)は胎生期のテストステロンシャワーの影響によることが示唆されている。男性は女性より2D:4Dが低い(薬指が人差し指より長い)。2D:4DとPSAとの関係を40歳以上の366名の男性で比較検討した。2D:4DはPSA値と相関がみられ、比率が0.95未満の群ではPSA値が高く、前立腺生検を受けるリスクが上昇した。

  • コメント
    胎児期の指の形成にはHox遺伝子が関与しているが、その調節にアンドロゲンが作用している可能性がある。2D:4Dはアンドロゲンへの感受性にも関わっている可能性がある。女性で2D:4Dが低い人は男勝りかも。2D:4Dと性的志向との関連がNature 404, 455-456に報告されている。


(7)ホットフラッシュに鍼治療
Acupuncture for Hot Flashes in Patients With Prostate Cancer.
Beer TM, et al. Urology. 2010 Nov;76(5):1182-8.

前立腺癌のホルモン療法によるhot flashに対して、針治療の効果を検討した、4週間、週2回の施行でプラセボと比較し、42%の患者が50%以上のhot flashの減少を認め、QOLや睡眠の質も改善していた。

  • コメント
    鍼治療は海外においてはプラセボにすぎないと考えられる傾向にあったが(代替医療のトリック(新潮社))、最近肯定的に捉えられるようになった。(N Engl J Med. 2010 Jul 29;363(5):454-61.) 乳がん患者でのホットフラッシュにも有効性が確認されている (J Clin Oncol. 2010 Apr 20;28(12):1979-81.)


(8)前立腺全摘後のヘルニアを予防する
A novel technique to prevent postradical retropubic prostatectomy inguinal hernia: the processus vaginalis transection method.
Fujii Y, et al. Urology. 2010 Mar;75(3):713-7.

恥骨後式前立腺全摘後(RRP)の合併症である鼠径ヘルニアを予防するために精管を腹膜から剥離し、腹膜鞘状突起を結紮し切断した群138例と、処理をしなかった対照群431群で術後ヘルニアの発生率を比較した。対照群では中央値42カ月で25%にヘルニアが発症したが、処理群では24カ月で1.4%であった。

Simple method of preventing postoperative inguinal hernia after radical retropubic prostatectomy.
Taguchi K, et al. Urology. 2010 Nov;76(5):1083-7.

RRP後の鼠径ヘルニアを予防するために精管を腹膜から剥離した群101例と、対照群170群で術後ヘルニアの発生率を比較した。処理群の観察期間は11.6カ月、対照群では23.9カ月の間に、処理群ではヘルニア発生が0に対し、対照群では11.8%にヘルニアが生じた。

  • コメント
    ヘルニアはRRPの泣き所(会陰式では生じない)、昔は創を大きく開くことが、骨盤壁を脆弱化するのではないかと感じていたが、ラパロでも頻度が変わらないので、不思議だった。小児の鼠径ヘルニアでは精管を腹膜鞘状突起からきっちり剥離するのが基本。同じ時期に、日本の2施設で素晴らしい外科イノベーションがされたことに感動!手術の詳しい内容は、
    http://www.tmd.ac.jp/med/uro/practice/cure/hernia.html
    に詳しい。


(9)前立腺内の亜鉛をイメージングする
A novel imaging approach for early detection of prostate cancer based on endogenous zinc sensing.
Ghosh SK, et al. Cancer Res. 2010 Aug 1;70(15):6119-27.

前立腺は亜鉛を多く含むが、前立腺癌では亜鉛の含有量が減少する。亜鉛と結合する蛍光プローブZPP1を、動物モデルで検討した。TRAMPマウスでは、癌化に伴い、前立腺内の蛍光の分布に異常が生じた。

  • コメント
    細胞内カルシウムやpHを測定する蛍光を30年以上前に開発したRoger Y. Tsienは、2008年のノーベル化学賞を受賞している(GFPの下村先生といい、蛍光というのは大事なのだろう)。がん転移研究ではin vivoイメージングが花盛りである。前立腺には亜鉛が多いので、亜鉛量を示す蛍光プローブがあれば、臨床応用可能かもしれない。また亜鉛が多いことからクエン酸回路が回らずに前立腺内にはクエン酸が多い。癌になるとクエン酸が減ることを利用したMR spectroscopyも臨床に応用されている。


■BPH/LUTS・OAB
(10)夜間頻尿と死亡リスク

Impact of nocturia on bone fracture and mortality in older individuals: a Japanese longitudinal cohort study.
Nakagawa et al. The Journal of urology (2010) vol. 184 (4) pp. 1413-8

夜間頻尿と骨折、死亡率の関連についての70歳以上の日本人高齢者784人についての検討。夜間排尿回数が2回以上では1回以下の場合に比べ、3年以内で骨折のリスクが約2倍に上昇し、有意に死亡率が高かった。

Association of Nocturia and Mortality: Results From the Third National Health and
Nutrition Examination Survey.
Kupelian V, et al. J Urol. 2010 Dec 17. [Epub ahead of print]

米国での症候と死亡率の関係を調べるNHANES III研究において20歳以上の男女15,988名で、夜間頻尿(>2回)と死亡率の関連を調べた。夜間頻尿は男性の15.5%、女性の20.9%に見られ、特に65歳以下で排尿回数が多くなるにつれて死亡率が高いことがわかった。

  • コメント
    夜間頻尿が死亡リスクに関連することが注目されている。骨折のリスクや循環器疾患、糖尿病による夜間多尿、慢性腎臓病と夜間高血圧、睡眠障害が注目されている。Nocturia, nocturnal activity, and nondipping. (Hypertension. 2009 Sep;54(3):646-51.) も参照されたい。


(11)HoLEPで術後尿失禁を減らす方法
Anteroposterior dissection HoLEP: a modification to prevent transient stress
urinary incontinence.
Endo F, et al. Urology. 2010 Dec;76(6):1451-5.

HoLEP手術後の尿失禁を改善するため、従来のretrograde dissectionからanteroposterior dissectionに術式を変更したところ、腹圧性尿失禁は以前は25.2% から、2.7% に減少した。

  • コメント
    HoLEPがBPH手術の標準となってきた。当初見られた尿失禁はおそらくどの施設でも工夫の結果、現在はわずかであろう。この論文のイノベーションは、12時の天井から腺腫の剥離をするという点でTURPのNesbit法に似ていることにある。おそらく多くの施設では従来の剥離とこの方法を組み合わせていると思う。


(12) BPHとCKD(慢性腎臓病)
Chronic kidney disease among men with lower urinary tract symptoms due to benign prostatic hyperplasia.
Hong et al. BJU International (2010) vol. 105 (10) pp. 1424-8

BPHに起因するLUTSを有する患者2,741例について、慢性腎臓病(CKD)との関連を後ろ向きに検討した。対象患者の約5.9%がCKD の診断基準(SCr>1.5 mg/dL)を満たしていた。CKDは、高血圧および糖尿病の病歴、最大尿流率(Qmax)低値と有意な関連を示した。LUTSの症状として、尿線低下および排尿遅延(いずれも排尿症状)がCKDと有意に関連していた。

  • コメント
    BOOがCKDのリスクファクターであることは以前にも報告されている。(Kidney Int 2005; 67: 2376–82) BOOにより膀胱排尿筋のリモデリングが生じ、vesico-ureteral junctionの機能的狭窄あるいはVURを生じている可能性がある。慢性腎臓病は死亡リスクと関連することから、CKD(eGFR<60 ml/min)の存在も手術適応を決める要因となるかもしれない。


(13) PVPはEDになる
Influence of photoselective vaporization of the prostate on sexual function: results of a prospective analysis of 149 patients with long-term follow-up.
Bruyère et al. Eur Urol (2010) vol. 58 (2) pp. 207-11

前立腺肥大症の外科治療として、光蒸散法(photoselective vaporization of the prostate:PVP)が普及してきた。PVP治療による性機能の影響の検討。PVPによる治療を受けた149人のBPH患者を対象とし、IIEF-5により性機能の評価をした。術前の性機能が正常の群において、術後6、12ヶ月後にIIEF-5値が低下した。PVPは短期的に、性機能を障害する。

  • コメント
    LUTSではそもそもEDであることが多いが、TURPでは被膜を損傷しなければ、勃起能への影響は比較的少ないかむしろEDは改善するという報告が多い。(Korean J Urol. 2010 Aug;51(8):557-60., Int J Impot Res. 2010 Mar-Apr;22(2):146-51.)PVPはレーザー光自体特性からが勃起神経を損傷することは考えにくいので、その原因がどこにあるのか興味深い。


(14)混合性尿失禁の治療方法は?
TVT vs TOT: a case controlled study in patients with mixed urodynamic stress incontinence and detrusor overactivity.
Duckett and Basu. Int Urogynecol J Pelvic Floor Dysfunct (2010) vol. 21 (7) pp. 763-6

腹圧性尿失禁のマネジメントにtransobturator tape (TOT)手術または恥骨後式tension-free vaginal tape (TVT)手術が汎用される。年齢をマッチさせた2群の混合性尿失禁患者(TOT手術群34例、TVT手術群34例)の手術成績を後ろ向きに比較した。再手術率は、TOT群(29.4%)のほうがTVT群(0%)に比べ有意に高いことから、混合性尿失禁患者では、TVT手術がTOT手術よりも治療成績が優れていると結論している。

  • コメント
    TVTとTOTどちらが混合性尿失禁によいのかは議論が分かれる点である。TOTは術後の合併症が少ないという報告もある。Int Urol Nephrol. 2010 Dec;42(4):915-20.


■Men’s Health
(15) LOH症候群診断の決め手

Identification of late-onset hypogonadism in middle-aged and elderly men.
Wu FC, et al. N Engl J Med. 2010 Jul 8;363(2):123-35.

加齢性腺機能低下症 (late-onset hypogonadism:LOH)には様々な症状があるが、テストステロンの低下に関連する症候をランダムに選んだ40-79歳の3369 人で症状調査票と血中のテストステロン、フリーテストステロンを測定することによって検討した。起床時の勃起の消失、性欲低下、ED、活力の低下、うつがテストステロン濃度に関係した。特に起床時の勃起の消失、性欲低下、EDがLOHの鍵となる症状であった。

  • コメント
    AMSをはじめとするLOH症候群の症状調査票は、テストステロン値と関係しないことが知られている。今回の検討では、この3症状がテストステロン濃度320 ng/dLを閾値として診断価値が高いことがわかったため、いわゆる男性更年期症状を訴えてきたかたには、起床時の勃起の消失、性欲低下、EDの3症状があり、テストステロン値が320 ng/dL以下というのが一つの基準となろう。


(16)テストステロン補充療法がLUTSを改善
Testosterone replacement therapy by testosterone ointment relieves lower urinary tract symptoms in late onset hypogonadism patients.
Amano T, et al. Aging Male. 2010 Aug 26. [Epub ahead of print]

LOH症候群の患者において、LUTSにおけるテストステロン補充療法の効果を検討した論文。テストステロン補充療法3ヶ月後AMS scale、SF-36、IIEF-5、IPSSは改善し、特に蓄尿症状より排尿症状の改善をみた。

  • コメント
    LOH症候群、ED、LUTSはお互い関連する。テストステロン補充がなぜLUTSを改善するのか、作用点の解析が期待される。LUTSでもテストステロンを測ってみると面白い。


(17)テストステロンがサルコペニアを予防
Testosterone supplementation reverses sarcopenia in aging through regulation of myostatin, c-Jun NH2-terminal kinase, Notch, and Akt signaling pathways.
Kovacheva EL, et al. Endocrinology. 2010 Feb;151(2):628-38.

テストステロンは筋委縮(サルコペニア)を予防し、老化における筋肉の維持に関与しているが、その分子機構はあきらかになっていない。老齢マウスを用いた実験では、テストステロンはoxidative stressを抑制し、myostatin、p21、c-Jun kinase、Akt、Notchなど多岐に渡るシグナルを介して筋細胞の減少を予防する。

  • コメント
    サルコペニアは、虚弱男性にとってADLを減少すると同時に、死亡リスクを高める。骨盤底筋のサルコペニアによる尿漏れも、テストステロン補充が改善するかもしれない。


■その他
(18)ナッツクラッカー症候群をラパロで治す

Laparoscopic Extravascular Renal Vein Stent Placement for Nutcracker Syndrome.
Zhang et al. Journal of Endourology 2010 Oct;24(10):1631-5.

左腎静脈が上腸間膜動脈に圧迫されて生じる、ナッツクラッカー症候群は肉眼的血尿、腰痛を引き起こす。高度の肉眼的血尿を呈するナッツクラッカー症候群の患者(20歳から35歳の3人)に対して腹腔鏡下に直径8mmのePTFEグラフトを左腎静脈外 (vena cavaからgonadal veinまで) に留置する治療を行った。手術時間は60-70分、術中の合併症は認められなかった。術後2年間で、すべての患者で肉眼的血尿は消失、一例のみ顕微鏡的血尿を認めた。

  • コメント
    既に20年前にアイデアはあったが (J Vasc Surg1988;8:415–421.)、腹腔鏡下で応用した、イノベーションと言えよう。ナッツクラッカー症候群の本態として上腸間膜動脈に線維性組織が絡みついていることも原因のひとつというのも興味深い。手術で治す、というのがやはり正しい気がする。


(19)大腸菌で尿路感染を予防
Escherichia coli 83972 bacteriuria protects against recurrent lower urinary tract infections in patients with incomplete bladder emptying.
Sundén et al. The Journal of Urology (2010) vol. 184 (1) pp. 179-85

膀胱炎の抗菌剤による治療は初期では有効であるが、複雑性感染症では耐性菌の出現を招き治療抵抗性となることが知られている。残尿がある患者に低病原性のEscherichia coli 83972を膀胱内に注入し、人工的に感染状態を作ることによって、病原性の強い菌の感染を予防をする試みが20人の患者での二重盲験クロスオーバー試験で行なわれた。E. coli 83972注入群では有意に膀胱炎の発症までの期間が延長し、膀胱炎の頻度が低下した。また腎盂腎炎による発熱などの副作用は認められなかった。

  • コメント
    弱毒株感染により、症候性膀胱炎を予防するのは面白い試み。ウイルス感染では一つのウイルスが感染すると、同種のウイルスは感染しにくくなる干渉という現象が見られるが、細菌については定かではない。なんでも除菌という風潮を反省させられる論文。


(20)息のにおいで癌がわかる!?
Detection of lung, breast, colorectal, and prostate cancers from exhaled breath using a single array of nanosensors.
Peng G, et al. Br J Cancer. 2010 Aug 10;103(4):542-51.

Mass spectorometryにより息から揮発性成分を検出し、癌患者のスクリーニングを試みた論文。20から75歳の177名の、健常人、肺癌、大腸癌、乳癌、前立腺癌患者を検討したところ、病気に応じてMass spectorometryのパターンが特徴的な傾向を示した。将来、息から簡便な健康診断が可能になるかもしれない。

  • コメント
    2004年に犬が膀胱がん患者の尿を嗅ぎわけるという報告があった。(BMJ. 2004 Sep 25;329(7468):712.) その後犬は肺癌、乳がん患者の息を嗅いで、がん診断ができるという報告も出ている。(Integr Cancer Ther. 2006 Mar;5(1):30-9.) 犬はやはり人類の友人である。


(21)質の高い終末期ケアのためのプログラム
End-of-life care: preparing patients and families.
Wood J, Smith C. Nat Rev Urol. 2010 Aug;7(8):425-9.

質の高い終末期ケアについての英国ならびに世界での試みやプログラムについて、特に医療施設から在宅への移行について詳しく紹介している。

  • コメント
    「質の高い」終末期ケアについてはがんの治療医と、在宅医の連携が不可欠。現在はこの両者の隔たりから、「がん難民」の議論が出ている。この論文はインフォメーションが豊富で、医局や病院・地域での勉強会にも役立つ。

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