Issue10
Current View on Urology Issue 10
前立腺癌

1.CRPCの新たなプレイヤー登場

The mutational landscape of lethal castration-resistant prostate cancer
Grasso CS, et al.:Nature. 487:239-43, 2012

去勢抵抗性前立腺癌ではETS遺伝子ファミリーを含む染色体の融合、PTENの喪失、ARの増幅が知られている。50人の治療後転移性去勢抵抗性前立腺癌と11人の治療前のハイグレード限局性前立腺癌のエクソーム解析*を行った。去勢抵抗性前立腺癌はモノクローナルであり、MLL2、FOXA1が変異することを新しく発見した。
*ゲノムのエクソン配列のみを網羅的に解析する手法。エクソンのサイズは全ゲノムの約1〜1.5%に過ぎないが、タンパク質に翻訳される領域であることから機能的に重要であり、遺伝性疾患の多くがエクソン領域の変異により引き起こされると推定されている。エクソーム解析は、全ゲノム配列解析よりもはるかに低コストでありながら効率よく疾患関連遺伝子を解析・同定できる方法として、近年注目されている。

  • エクソーム解析を行った研究で、腎がんでは、腫瘍内の遺伝子変異の多様性が大きいことが分子標的薬の限界となりうることが指摘された(Gerlinger M, et al.: N Engl J Med. 366:883-92,2012)。CRPCは、むしろモノクローナルであるため、一つずつ標的分子を攻めていける可能性がある。新たなプレイヤーが発見され、今後創薬に向けてさらに研究が加速するであろう。



2.がん治療の耐性は、わき役から運ばれる

Treatment-induced damage to the tumor microenvironment promotes prostate cancer therapy resistance through WNT16B
Sun Y, et al.:Nat Med. 18:1359-68, 2012

抗がん治療に対する獲得耐性は、悪性腫瘍が引き起こす病的状態や死亡の低減を妨げる重大な障壁となっている。Neoadjuvant療法後に前立腺の間質で誘導される転写応答について全ゲノム解析を行ったところWntファミリーに属するWNT16Bが発見された。前立腺癌の微小環境でのWNT16Bの発現は、 in vivoでの細胞毒性化学療法の効果を減弱し、腫瘍細胞の生存と疾患進行を助けることがわかった。

  • 抗がん剤は癌細胞のみならず周囲の間質細胞に働き、DNAdamageresponseを起こす。誘導された分泌蛋白には、がん細胞の耐性に作用するものがあることが明らかになった。したがって、周期的に同じ抗癌化学療法を行うことが治療耐性を増強する。Wntと前立腺癌については日本からも論文が出ている(Takahashi S, et al.: Proc Natl Acad Sci USA. 108:4938-43, 2011)。



3.前立腺を取ってから肥大症を治療しよう

Dutasteride Treatment Over 2 Years Delays Prostate-specific Antigen Progression in Patients with Biochemical Failure After Radical Therapy for Prostate Cancer: Results from the Randomised, Placebo-controlled Avodart After Radical Therapy for Prostate Cancer Study (ARTS)
Schroder F, et al.:Eur Urol. 63:779-87, 2013

前立腺癌の根治摘出術後の生化学的再発に対するデュタステリドの効果を評価した。デュタステリドは統計学的有意にPSA倍加時間を延長させ(p<0.001)、またプラセボと比較し病状の進行を遅らせた(p<0.001)。デュタステリドは前立腺癌の根治的手術後の生化学的再発を遅延させうる。

  • 前立腺癌術後のPSA再発ではGleason score, Doubling timeなどが転移リスクであることが知られている。術前のPSA DT<12カ月のHighriskの患者においてもデュタステリド投与群では、PSA倍加の頻度が少なかった。デュタステリドは、前立腺全摘後の残存腫瘍を治療する可能性がある。



4.一病息災

Causes of death after radical prostatectomy at a large tertiary center
Eifler JB, et al.:J Urol. 188:798-801, 2012

1975年から2009年までにRRPをうけた18,209名を対象として、患者群の死因を米国の一般的な死因と比較した。RRP時の年齢の中央値は59歳、術後7.4年フォローされていた。10年、20年の全生存率はそれぞれ92.6%と69.2%であった。RRP後の患者の死亡率は一般的な米国人の死亡率より低く、特に心疾患、慢性呼吸器疾患、糖尿病、感染症による死亡が少なかった。前立腺癌による死亡は約2%であった。前立腺癌以外で死亡した患者の44%は、別の癌で死亡していた。

  • 当な解釈である。しかし妙齢の男性では病んだ前立腺を摘除することが、健康長寿にポジティブに働く可能性はないだろうか?



5.前立腺も除菌!

Chronic Prostatic Infection and Inflammation by Propionibacterium acnes in a Rat Prostate Infection Model
Olsson J, et al.:PLoS One. 7:e51434, 2012

グラム陽性菌であるPropionibacterium acnes(PBA)が前立腺疾患のある前立腺組織に高頻度に確認されることが報告されている。SDラットの前立腺にPBAを感染させたところ慢性炎症を引きおこした。PBAはヒト前立腺の慢性炎症に関与しているかもしれない。

  • PBAは心内膜炎や整形外科疾患にも関与しているらしい。PBA除菌がいずれピロリ菌除菌のように、前立腺癌予防として一般化するようなエビデンスが出てくるか?めざせノーベル賞!



6.早期癌でも癌は癌

Natural History of Early, Localized Prostate Cancer: A Final Report from Three Decades of Follow-up
Popiolek M, et al.:Eur Urol. 63:428-35, 2013

早期前立腺癌の長期間の自然史を知るため、223名の無治療局所前立腺癌患者を対象に前向きコホート研究を行った。すべての患者は最初、経過観察とし、癌の進展が症状として現れた場合や転移がみられた場合にアンドロゲン除去療法が行われた。30年の経過観察中41%に局所浸潤が進行し、18%が遠隔転移をきたし、17%が前立腺癌で死亡した。Gleason sum 8〜10の患者は全員10年以内に死亡した。

  • Gleason sum 8〜10では何らかの治療が即時に必須と考えてよいだろう。Gleason7以下では少なくとも10年以上の生存が見込まれる時に治療することが、適切かもしれない。しかし30年間経過観察するって…。



7.スター誕生?

Increased survival with enzalutamide in prostate cancer after chemotherapy
Scher HI, et al; AFFIRM Investigators.:N Engl J Med. 367:1187-97, 2012

Enzalutamide(MDV3100)はアンドロゲン受容体のシグナル伝達を多段階で標的とし、
前立腺癌の成長を抑制する。Enzalutamideが化学療法後の去勢抵抗性前立腺癌の生存率を延長させるか検討した。全生存率の中央値はEnzalutamideが18.4カ月に対し、プラセボは13.6カ月であった(P<0.001)。セカンダリーエンドポイントであるPSA50%以上低下が54%vs.2%(P<0.001)、軟組織の治療反応率(29% vs. 4%, P<0.001), QOL(43% vs. 18%, P<0.001)、 PSA上昇までの期間(8.3 vs. 3.0カ月; P<0.001)、 画像によるPFS(8.3 vs. 2.9カ月; P<0.001)、 最初の骨関連事象までの期間(16.7vs.13.3カ月;P<0.001)で有意な差を認めた。Enzalutamidは化学療法後の転移性CRPCの生存を延長させる。

Abiraterone in metastatic prostate cancer without previous chemotherapy
Ryan CJ, et al.:N Engl J Med. 368:138-48, 2013

アンドロゲン産生を抑制するアビラテロンが、ドセタキセル未治療のCRPCに有効か検討した。1,088人のCRPC患者が、アビラテロン+プレドニンあるいはプラセボ+プレドニンに割り付けられ、画像でのPFSとOSを一次エンドポイントとした。PFSの中央値はアビラテロン群が16.5カ月に対して対照群は8.3カ月であった。アビラテロンは転移性CRPCに対して抗癌化学療法の導入を遅らせた。

  • いよいよEnzalutamideの治験結果が発表された。ホルモン療法の長い日本人でも同等の効果がみられるか、またアビラテロンとの順序はどうなるか。ちなみに同号のNEJMには、日本によくこられるVogelzangさんがEditorialを書いている(Vogelzang NJ: N Engl J Med. 367:1256-7, 2012)。一方アビラテロンはchemo naïveにも効果があることを示した。治療シークエンスがどうなっていくか興味深い。



8.間欠療法は限局癌でもQOLがよい

Intermittent androgen suppression for rising PSA level after radiotherapy
Crook JM, et al.:N Engl J Med. 367:895-903, 2012

限局性前立腺癌に対して放射線療法後1年以上たってPSAが3ng/mL以上になった患者1,386名(中央値74歳)を対象に、間欠的または持続的なアンドロゲン除去療法がOSに与える影響を検討した。間欠療法は8カ月サイクルで無治療期間はPSA値によって決定した。全生存期間の中央値は間欠療法群で8.8年に対し、持続療法群で9.1年であった。間欠療法は持続療法と比較して全生存期間で劣らなかった。また間欠療法群において、テストステロンは35%の症例で回復し身体機能、倦怠感、排尿症状、ホットフラッシュ、性欲、そしてEDに潜在的利益をもたらした。

  • このシリーズ、持続療法では34%、間欠療法では41%が前立腺癌死している。問題はむしろPSAがいくつになったら治療を開始すべきなのか、かもしれない。ところで、内分泌療法の副作用としての骨粗鬆症、サルコペニアが問題になっている。以下の論文は、創薬の標的をわかりやすく解説している。Targeting the skeletal muscle-
    metabolism axis in prostate-cancer therapy. Basaria S & Bhasin S: N Engl J Med. 367:965-7, 2012



9.RALPでの神経温存の程度が尿失禁に関係する

Effect of a risk-stratified grade of nerve-sparing technique on early return of continence after robot-assisted laparoscopic radical prostatectomy
Srivastava A, et al.:Eur Urol. 63:438-44, 2013

RALPでの神経温存レベルが尿禁制に関係するか、1人の術者が行った1,546例の患者について検討した。手術後3カ月以内にパッド使用がなくなったものは、全体で55.8%、前立腺被膜の静脈を含む層から温存する術式では71.8%であった。一方、神経温存を行わなかった患者では、43.5%であった。

  • 神経温存のAthermal technique (Takenaka A, et al.: World J Urol. 24:136-43, 2006) を発表した Ash Tewariのデータです。ロボット外科医はこの数字を越えていこう!



10.勃起を気にするならRARP

Systematic review and meta-analysis of studies reporting potency rates after robot-assisted radical prostatectomy
Ficarra V, et al.:Eur Urol. 62:418-30, 2012

RARP後の勃起機能の評価についてメタアナリシスを行った。手術後1年での勃起率は54〜90%であった。1年後の勃起能はRARPがRRPの2.8倍優れていた。

  • 術後の勃起能は、年齢、術前の勃起能、神経温存の範囲とレベルによって異なるが、RRPに比べて明らかにRARPがよい。これは重要なエビデンスである。



11.おいおい手術してる場合か?

Long-term functional outcomes after treatment for localized prostate cancer
Resnick MJ, et al.:N Engl J Med. 368:436-45, 2013

根治的前立腺摘除術および放射線療法後の長期の排尿、排便、性機能を比較した。55歳〜74歳の間で限局性前立腺癌と診断され、手術(1,164名)か放射線療法(491名)を行った1,655名の男性について、機能的アウトカムをbaseline、診断後2年、5年、15年で行った。放射線群と比較して手術群では尿失禁が治療後2年目で有意に多かった。しかし、15年目では尿失禁について群間のodds比に有意な差は認めなかった。同様に手術群は2年目と5年目で有意にEDとなる率が高かったが、15年目では群間odds比に有意差を認めなかった。手術群では腸管刺激症状は2年(odds比,0.39;95%CI, 0.22〜0.68)と5年(odds比,0.47;95%CI,0.26〜0.84)で有意に低かった。限局性前立腺癌に対し治療を受けた男性は15年の経過中に機能的アウトカムの全ての項目の低下を認めていた。

  • アメリカではロボット外科医への逆風は強い。開業グループはむしろ放射線治療の利益が高いので、この論文は放射線治療への後押しになる。政治的な論文。



12.さらにキツイ一発

Radical prostatectomy versus observation for localized prostate cancer
Wilt TJ, et al.:N Engl J Med. 367:203-13, 2012

731名の限局性前立腺癌を有する男性(平均年齢 67歳、PSAの中央値7.8ng/mL)をRRP群と経過観察群にランダムに割り付けした。追跡期間中央値10年の間にRRP群364名中171名(47.0%)が死亡し、経過観察に割り付けられた367名のうち183名(49.9%)が死亡した。経過観察群31名に対し、RRP群の21名が前立腺癌によって死亡した。全死亡率および前立腺癌死亡率に対する治療の効果は年齢、人種、合併症、身体機能、腫瘍の病理所見によって違いを認めなかった。RRPはPSA10以上の患者において全死亡率減少に関与していた(P=0.04)。限局性前立腺癌では、経過観察に対しRRPは全死亡率や前立腺癌死亡率を12年間のフォローアップ期間において有意に減少させなかった。

  • この論文も間接的にPSAスクリーニングに否定的な風潮を醸し出している。前立腺癌を治してもほかの理由で死亡するなら治療しなくてよい、というのも乱暴な話だが、なにより日本人、アジア人のデータが必要だ。APPS(Asia Pacific Prostate Society)がアジアンデータを収集し始めている。



13.テストステロン補充療法と前立腺癌

Is Testosterone Treatment Good for the Prostate? Study of Safety during Long-Term Treatment
Feneley MR, et al.:J Sex Med. 9:2138-49, 2012

長期間テストステロン補充療法(TRT)を行った場合の前立腺癌の発生率を検討した。LOH症候群に対して、TRTを受けた28〜87歳(平均55歳)の1,365名の男性を20年間モニターした。全患者がDREとPSAで前立腺癌のスクリーニングを受け、ベースラインとその後は6カ月おきに内分泌、生化学等の検査が行われた。2,966人/年のTRTの後、14の新たな前立腺癌が診断された。診断までの時間は1〜12年(平均6.3年)であった。全腫瘍は臨床的に限局しており、根治術が可能であった。長期TRT中の前立腺癌の発生は一般人口で予測されるものと同等であった。

  • TRTは前立腺癌の発症リスクとはならない。しかしLOH症候群では比較的低いPSA値で前立腺癌が見つかりやすい。しかも悪性度が高いことが多い。PSA>2.0のLOHでは精査が必要。



Men’s Health

14.30にして立つ

Exercise is associated with better erectile function in men under 40 as evaluated by the International Index of Erectile Function
Hsiao W, et al.:J Sex Med. 9:524-30, 2012

若年健康男性においても身体活動と勃起能に関連があるか、18歳〜40歳の泌尿器科を受診した患者78人で身体活動度とIIEFを評価した。身体活動度が少ない群はIIEFのすべてのドメインで劣っており、EDの有病率が高かったが、性欲ドメインのスコアは同等であった。身体的活動の向上は若年健康男性においても性機能の向上につながる。

  • エクササイズはからだに良いことが若年男性でも示されているが、身体活動度が少ないそもそもの原因がテストステロン値かもしれない。



15.バイアグラでホルモン力アップ

Transient rise of serum testosterone level after single sildenafil treatment of adult male rats Reference
Janjic MM, et al.:J Sex Med. 9:2534-43, 2012

シルデナフィルのテストステロン産生効果を検討した。成体雄ラットにシルデナフィル(1.25mg/kg BW)を経口投与したところ、血清テストステロンは投与60分と120分後に増加した。精巣間質液(TIF)におけるcGMPとテストステロンは治療後30分で増加した。この効果にはPRKG1が関与する。シルデナフィルは精巣でのテストステロン産生を刺激する。

  • PDE5iには血管内皮機能、蓄尿機能、耐糖能改善などの効果がある。PDE5iはアンチエイジングメディスンといえるだろう。



16.CAGリピートはLOHのリスク

The impact of androgen receptor CAG repeat polymorphism on andropausal symptoms in different serum testosterone levels
Liu CC, et al.:J Sex Med. 9:2429-37, 2012

アンドロゲンの減少のほかに、アンドロゲン受容体(AR)の機能低下が男性更年期症状に寄与している可能性がある。アンドロゲン受容体のCAGリピートの遺伝子多型と血中テストステロンレベル(TT)について検討した。平均年齢57.2歳の702人の男性においてTT値が340ng/dL以上のときCAGリピートが25以上の群では22以下の群と比較して有意にLOH症状のリスクが上昇した(P=0.006)。長CAG群はLOHになるリスクが高い。

  • アンドロゲン受容体の機能にプロモーター領域にあるCAGリピートの長さが影響する。男性型禿毛症(AGA)でもその関与が議論されている。



17.デュタステリドで不可逆性のED?

Incomplete recovery of erectile function in rat after discontinuation of dual 5-alpha reductase inhibitor therapy
Oztekin CV, et al.:J Sex Med. 9:1773-81, 2012

デュタステリドを服用中止にして長期間経つにも関わらず、EDが持続する症例が少なからず存在する。雄性SDラットにデュタステリドを投与し、勃起能とinvitroの海綿体平滑筋の弛緩反応について検討した。陰茎海綿体内圧は治療群で有意に減少していた。アセチルコリン誘発の弛緩反応は治療群で消失し、washoutしても反応は回復しなかった。

  • 性的活動が高い層においてデュタステリドは長期のEDを起こしうるので、注意とICが必要。



18.ARTで死亡率が減少する

Testosterone treatment and mortality in men with low testosterone levels
Shores MM, et al.:J Clin Endocrinol Metab. 97:2050-8, 2012

低テストステロン値の男性において、テストステロン補充と死亡率の関連について検討した。40歳以上で低テストステロン値[≤250ng/dL(8.7nmol/L)]を示した退役軍人1,031名におけるテストステロン補充(ART)群と無治療群で総死亡率を検討した。
結果:ARTは398名(39%)で開始されていた。総死亡率はテストステロン補充群で10.3%、無治療群で20.7%であった(P<0.0001)。年齢、BMI、テストステロン値、合併症、糖尿病、冠動脈疾患などの交絡因子で補正してもテストステロン治療は死亡率低下に寄与していた(ハザード比0.61; 95% CI, 0.42〜0.88; P=0.008)。

  • ARTが死亡率を下げるデータが出だしてきた。無作為二重盲検の臨床試験が待たれる。



BPH/LUTS・OAB

19.膀胱癌もケモラジ

Radiotherapy with or without Chemotherapy in Muscle-Invasive Bladder Cancer
James ND, et al.:N Engl J Med. 366:1477-88, 2012

筋層浸潤性膀胱癌で放射線療法単独に加えて化学療法を同時に行うことが局所制御および生存率の改善と関連しているか検討した。放射線治療を受ける筋層浸潤性膀胱癌患者360人において、化学療法併用の有無がランダムに割り当てられた。化学療法は、放射線療法の1日目〜5日目と16日目〜20日目の間にフルオロウラシル(500mg/BSA)、放射線療法の1日目にマイトマイシンC(12mg/BSA)を投与するレジメンとした。主要エンドポイントは、膀胱および所属リンパ節の癌無し生存(LRDFS)率とし、副次的エンドポイントは全生存期間および毒性の評価として解析を行った。治療開始2年後のLRDFSは、化学放射線療法群で67%、放射線療法単独群では54%であった。中央値69.9カ月でのフォローアップ期間中での化学放射線療法群のハザード比は0.68(95%CI,0.48〜0.96; P=0.03)であった。5年間のOSは化学放射線療法群では48%で、放射線療法群では35%であった(ハザード比0.82,95%CI,0.63〜1.09;P=0.16)。フルオロウラシル、マイトマイシンCを組み合わせる膀胱癌の化学療法と放射線療法の併用は、放射線療法単独と比較して、大幅に局所の制癌効果を改善することが示された。

  • 転移による膀胱癌特異的死亡でなく、LRDFSが、治療効果を見るのにはたして適切な評価方法かは疑問が残るが、膀胱癌もケモラジ時代に突入するであろう。



20.ウロダイは尿失禁手術に必要?

A Randomized Trial of Urodynamic Testing before Stress-Incontinence Surgery
Nager CW, et al.:N Engl J Med. 366:1987-97, 2012

女性の腹圧性尿失禁手術の効果に、術前後のウロダイ検査が必要か検討した。症状評価のみの群と、ウロダイをさらに行う群に分けて、無作為化非劣性試験をした。手術成功率をUrogenitalDistress Inventory6(UDI-6)質問票による70%以上のスコアの改善と、患者全般印象が "より良い"または "非常に良い"として定義したところ、ウロダイを行う群、行わない群共に手術の成功率は77%であった。失禁の重症度、生活の質、患者の満足度、正のストレス性失禁誘発テスト、排尿障害、または有害事象の発生率も2群間で有意な差を認めなかった。

  • 腹圧性尿失禁の評価にウロダイが必要かは長年議論になっている(Serati M, et al.: Eur Urol. 62:730-1, 2012)。しかし、この「手術成功率」は容認できる程度なのだろうか?



21.君は上付き?

The relationship between anogenital distance and reproductive hormone levels in adult men
Eisenberg ML, et al.:J Urol. 187:594-8, 2012

Anogenitaldistance(肛門生殖突起間距離:AGD)はホルモン産生のマーカーとされており、距離が短いと精巣機能障害と関連している。AGDが成人における性ホルモンレベルと関連するか検討した。116人の男性(平均36.1歳)についてAGD:肛門より陰嚢後面辺縁までの距離と陰茎長を測定した。AGDと陰茎長は血清テストステロン値と有意な相関を認めた。年齢補正後、血清テストステロン値はAGDが1兪えるごとに20.1ng/dL増加した。LOHレベルのテストステロン値(300ng/dL未満)を持つ男性では高いテストステロン値を有する男性と比較して有意にAGDが短かった。

  • 精巣が上付きだと精巣力が高い。2D:4D同様、胎児期の形態形成が成人の精巣機能を予測する可能性がある。

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