Issue8
Current View on Urology Issue 8
CVU8
Update 最近の学術誌から

前立腺癌
(1)カドヘリンスィッチが去勢抵抗性前立腺癌 (CRPC)を誘導する
Monoclonal antibody targeting of N-cadherin inhibits prostate cancer growth, metastasis and castration resistance
Tanaka H, et al.:Nat Med. 16:1414-20,2010
アンドロゲン応答癌からCRPCへ移行する分子メカニズムとして、細胞接着因子であるN-cadherinに注目した。N-cadherinのモノクローナル抗体の投与により、前立腺癌細胞の増殖転移に加えて、CRPCの出現が有意に遅延した。
  • 細胞接着因子がE-cadherinからN-cadherinに置き換わるのをカドヘリンスィッチと呼び、癌細胞は転移しやすくなる。CRPCではN-cadherinが治療標的になることを示した論文。遺伝子治療モデルでは、大阪医大の東教授グループの仕事がある。
    J Natl Cancer Inst.97:1734-46,2005


(2)MicroRNAと泌尿器癌
MicroRNA in prostate, bladder, and kidney cancer:
a systematic review
Catto JW, et al.:Eur Urol. 59:671-81,2011
MicroRNA は、それ自体転写されないRNAだが、他の遺伝子の転写を制御する。癌をはじめとして疾患特異的なmicroRNAがこれまで見出されており、バイオマーカー、あるいは創薬、遺伝子治療の可能性が検討されている。このreviewでは前立腺癌、膀胱癌、腎癌についての知見をまとめている。
  • MicroRNAはエピジェネティクス同様、遺伝子発現を制御するメカニズムとして注目されてきた。MicroRNAとともに、それぞれの発癌に関与する分子もシェーマで整理されている。Nat Med.17:211-5,2011には、microRNAのmiR-34aがCD44を標的に、前立腺癌幹細胞を抑制する報告が掲載されている。


(3)アビラテロンは去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)患者の生存期間を延長する。
Abiraterone and increased survival in metastatic prostate cancer
de Bono JS, et al.:N Engl J Med. 364:1995-2005,2011
性腺外アンドロゲンの生成はCRPCの進展に寄与する。ドセタキセル+プレドニン療法をうけた前立腺癌患者1,195名をabirateroneacetate(1,000mg)投与群とプラセボ投与群に2:1に割り付け、primary endopointを全生存期間(OS)として比較した。観察期間の中央値が12.8ヵ月でabiraterone acetate投与群はプラセボ投与群より有意にOSを延長した(14.8 vs. 10.9 months; hazard ratio, 0.65; P<0.001)。ミネラルコルチコイドに関連する有害事象(AE)として、体液貯留、高血圧、低カリウム血症がabiraterone acetate投与群に多くみられた。
  • CRPCの治療に癌組織内でのアンドロゲン代謝阻害が有効である。Abirateroneは海外で承認されており、いずれCRPCのprimary治療になる可能性が高い。


(4)BPHの手術を受けた患者は、前立腺癌死が多い!?
Association of Clinical Benign Prostate Hyperplasia with Prostate Cancer Incidence and Mortality Revisited: A Nationwide Cohort Study of 3, 009, 258 Men
Orsted DD, et al.:Eur Urol. Jun 24.2011 [epub]
BPHは前立腺癌とは関連しないと考えられている。1980年から2006年に、デンマーク人男性3,009,258人について前立腺癌とBPHの治療の有無の関連を調べた。BPHの手術を受けた既往があると前立腺癌死亡のハザード比は7.85(7.40-8.32)と高値であった。
  • BPHは前立腺癌と無縁あるいは、大きなBPHがあると癌にはならないような気がしていたが、驚きのデータだ。排尿障害がある場合には、PSA監視はよりきちんとすべきかもしれない。


(5)Active surveillanceに5α還元酵素阻害薬(5-ARI)?
Impact of 5α-reductase inhibitors on men followed by active surveillance for prostate cancer
Finelli A, et al.:Eur Urol. 59:509-14,2011
前立腺癌のactivesurveillance に5-ARIの効果があるか、288人の患者を後ろ向きに調べた論文。観察期間の中央値は38.5ヵ月であった。32%は病理の悪化があり33%はactivesurveillanceを中断した。5-ARI服用群は癌の進展が有意に少なかった。5-ARIを服用しないと進展するハザード比は2.91(1.5-5.6)であった。
  • 5-ARI服用群は前立腺が有意に大きかった。そのこと自体が癌の進展に関連している可能性はある。現在dutasterideについて二重盲検試験が進行中である。


(6)MRIガイド下のfocal therapy
Magnetic resonance guided, focal laser induced interstitial thermal therapy in a canine prostate model
Stafford RJ, et al.:J Urol. 184:1514-20,2010
MRIガイド下でイヌの前立腺にレーザーアプリケータを挿入し、温熱治療の効果についてMRで局所温度をモニタリングするシステムの報告。レーザーアプリケータの挿入はテンプレートに基づいて行った。
  • 前立腺癌の局所治療には、腫瘍のリアルタイム局所診断と、正確に癌を捕捉し、かつリアルタイムに治療効果のモニタリングが得られる必要がある。MRIの進化により診断精度が上がれば、MRIガイド下focal therapyが一般化するだろう。


(7)去勢抵抗性前立腺癌(CRPC)にdenosumab
Denosumab versus zoledronic acid for treatment of bone metastases in men with castration-resistant prostate cancer: a randomised, double-blind study
Fizazi K, et al.:Lancet. 377:813-22,2011
骨転移のあるCRPC患者における骨関連事象(SRE)の予防について、RANKLに対するモノクローナル抗体であるdenosumabの効果をゾレドロン酸と比較したphaseIII試験。SRE発症の中央値は、denosumabで20.7ヵ月(18.8-24.9)であったのに対して、ゾレドロン酸では、17.1ヵ月(15.0-19.4)と有意な差があった。
  • ゾレドロン酸は腎機能により投与量を調節する必要があるが、denosumabはその必要がない一方、低カルシウム血症をおこしやすい。わが国でも保険適応となるので、注目されよう。


(8)放射線治療は早死にする?
External irradiation with or without long-term androgen suppression for prostate cancer with high metastatic risk: 10-year results of an EORTC randomised study
Bolla M, et al.: Lancet Oncol. 11:1066-73,2010
放射線治療に内分泌治療を併用することを推奨した Bolla studyの長期結果。70Gyの照射と同時に、3年間のLH-RHアゴニスト治療の併用または放射線治療のみを無作為に割り付けた。10年間の前立腺癌特異的死亡率は、併用なし群で30.4%(23.2-37.5)、併用あり群で10.3%(5.1-15.4)であった。(HR 0.38, p<0.0001)また10年間の生存率は、併用なしで39.8%(31.9-47.5)に対し、併用あり群で58.1%(49.2-66.0)であった。(HR 0.60, p=0.0004)心臓血管疾患による死亡は差がなかった。
  • 放射線治療には内分泌治療を併用する。これがエビデンスである。しかし放射線治療単独では、4年で40%死亡しており、このうち前立腺癌死亡は15%にすぎないことから、25%はほかの原因で死亡している。これはなぜなんだろう?外照射が体に与える影響はまだまだ未知な点が多い。


(9)ハイリスク前立腺癌でも手術が予後がよい
Long-term survival after radical prostatectomy versus external-beam radiotherapy for patients with high-risk prostate cancer
Boorjian SA, et al.: Cancer. 117:2883-91,2011
PSA 20ng/mL以上、Gleason score8から10、T3以上のハイリスク前立腺癌の生存期間を根治的前立腺全摘除術と内分泌療法併用の有無における外照射で比較した。1,238名が根治的前立腺全摘除術、609名が外照射(うち344名が内分泌療法を併用)を受けた。前立腺癌死については根治的前立腺全摘除術と内分泌療法+外照射で差を認めなかった。しかし、癌を含めたすべての死亡のリスクは、内分泌療法+外照射が根治的前立腺全摘除術より高かった。(HR, 1.60; 95% CI, 1.25-2.05; P =0.0002)
  • この論文も、無作為割付ではないものの、内分泌療法+外照射は、手術療法より全生存率が悪い。放射線治療の有害事象の目安になるバイオマーカーが必要だ。特にlow-risk症例に放射線照射をすることがよいかどうか、今後議論が必要だろう。


(10)喫煙は前立腺癌の再発・死亡のリスクを高める
Smoking and prostate cancer survival and recurrence
Kenfield SA, et al.: JAMA. 305:2548-55,2011
前立腺癌死と心血管疾患および生化学的再発と喫煙の関係を検討した。1986年から2006年までに前立腺癌の診断を受けた5,366名の患者をprospectiveに検討した。非喫煙者と喫煙者の前立腺癌特異的死亡は1,000人あたり、9.6人対15.3人であり、すべての疾患による死亡は 27.3人対 53.0人であった。喫煙者は非喫煙者に対し、ハザード比で1.61倍増加した。喫煙者は生化学的再発が1.61倍、全体の死亡率が2.28倍、心血管疾患による死亡が2.13倍増加した。臨床病期やグレードで補正しても喫煙者は1.38倍前立腺癌死のリスクが増加し、生化学的再発が1.47倍増加した。少なくとも10年間禁煙すれば前立腺癌死は非喫煙者と同程度のリスクになった。
Cigarette Smoking and Prostate Cancer Recurrence After Prostatectomy
Joshu CE, et al.: J Natl Cancer Inst. 103:835-8,2011
Johns Hopkins Hospitalで根治的前立腺全摘除術を受けた1,416人を後ろ向きに解析し、前立腺癌の再発と喫煙の関連を検討した。喫煙歴は手術前5年間と術後1年間を調査した。喫煙者の前立腺癌再発率は34.3%に対して、手術後に禁煙した者は14.8%、非喫煙者は12.1%であった。喫煙と前立腺癌再発には関連がある。
  • 癌治療の効果に生活習慣が関係する。診断されてからの経過時間を考えると癌の再燃・進行にタバコの発癌物質が関与しているとは考えにくい。喫煙による酸化ストレスが悪いかもしれない。酸化ストレスと前立腺発癌についてはInt J Oncol. 37:761-
    6.2010を参照。


(11)スタチンの前立腺癌予防効果
Statins and Prostate Cancer Diagnosis and Grade in a Veterans Population
Farwell WR, et al.: J Natl Cancer Inst. 103:885-92,2011
退役軍人55,875名でスタチン内服患者と降圧剤内服患者を、年齢など多因子補正したCOXハザードモデルを使用し比較した。降圧剤を内服している患者に比較して、スタチンを内服している患者は31%前立腺癌の罹患率が低く、しかも60%ハイリスク前立腺癌のリスクが低かった。高コレステロール値はハイリスク前立腺癌リスクと相関していた。
  • 脂肪代謝は前立腺発癌の鍵になる。一方スタチンはテストステロンレベルを低下させる可能性がある。
    J Sex Med. 7(4Pt1):1547-56,2010


(12)骨粗しょう症を伴う前立腺癌には、ビカルタミド単独療法がよい
Bicalutamide monotherapy preserves bone mineral density, muscle strength and has significant health-related quality of life benefits for osteoporotic men with prostate cancer
Wadhwa VK, et al.: BJU Int. 107:1923-9,2011
骨粗しょう症のある42人の局所浸潤性前立腺癌にビカルタミド単独治療を行い、骨密度、筋力、健康QOLについて評価した。骨密度の悪化は見られず、PSAは3ヵ月で88%減少した。テストステロンとエストラジオールはそれぞれ1年で58%、42%上昇した。骨代謝マーカーの上昇はみられず、筋力、健康QOLも維持されていた。副作用は乳房腫大と乳房痛であった。ビカルタミド単独治療は骨密度、筋力、健康QOLを維持し、骨折の危険があったり、身体的、性的機能を温存したい患者さんの治療選択肢になりえる。
  • 内分泌治療開始前には骨密度を測定したほうがよい。ビカルタミド単独療法は一般的ではないが再燃時にLH-RHアナログ製剤を使用するオプションもある。


(13)脂肪がこわいのはおなかだけではない!
Periprostatic fat correlates with tumour aggressiveness in prostate cancer patients
Van Roermund JG, et al.: BJU Int. 107:1775-9,2011
肥満は前立腺癌進展度に関連する。局所前立腺癌に対して放射線療法を受けた患者の病勢進行とCTで測定した傍前立腺脂肪組織量との関連を検討した。932名の前立腺癌患者で、傍前立腺脂肪組織量が多い場合、ハイリスク前立腺癌と関連していた。
  • 直腸前脂肪がたっぷりある方が、安心して手術できる。しかし脂肪が多いなら、多いなりにごっそり取る必要があるかも。


(14)65歳以下は根治手術!
Radical prostatectomy versus watchful waiting in early prostate cancer
Bill-Axelson A, et al.: N Engl J Med. 364:1708-17,2011
65歳以下の前立腺癌に対する根治的前立腺全摘除術とwatchful waiting(WW)を15年間比較し、フォローした結果の論文。15年間の前立腺癌による死亡は根治的前立腺全摘除術が14.6%、WWが20.7%で、根治的前立腺全摘除術の relative risk は0.62であった。被膜外浸潤がある患者は死亡のリスクが7倍高かった。WWに対して根治的前立腺全摘除術の優位性が示された。被膜外浸潤のある患者は積極的なadjuvant療法が必要かもしれない。
  • 「65歳以下では手術治療」がエビデンスとなった。もっともこの試験では88%が直腸診(+)であった。PSAスクリーニングによって検出されるT1c癌ではどうなのか?答えはまだない。


(15)ブロッコリーで前立腺癌予防!?
Chemopreventative potential of the cruciferous vegetable constituent phenethyl isothiocyanate in a mouse model of prostate cancer
Powolny AA, et al.: J Natl Cancer Inst. 103:571-84,2011
ブロッコリーに含まれる phenethyl isothiocyanate(PEITC)の前立腺癌予防効果を検討した論文。前立腺癌マウスモデルに3μmol のPEITCを19週投与した。コントロール群の前立腺癌発症率が57.58%に対し、PEITC投与群では、21.65%であった。
  • PEITCはワサビにも含まれている。機能性食品因子による癌予防については、Nature 471: S22, 2011が面白い。


(16)前立腺癌があっても加齢男性性腺機能低下(LOH)症候 群にはテストステロン補充療法
Testosterone therapy in men with untreated prostate cancer
Morgentaler A, et al.: J Urol. 185:1256-60,2011
LOH症候群のある無治療の前立腺癌患者にテストステロン療法を検討した論文。Active surveillance中にLOH症候群のある前立腺癌患者にテストステロン補充療法を行い、前立腺生検病理、PSA、前立腺重量を検討した。13名の患者が2.5年間(中央値)テストステロン補充療法を受けた。Gleason scoreは12名が6、1名が7であった。テストステロン補充療法によりPSA値は上昇せず、前立腺重量も変化がなかった。テストステロン補充療法フォロー中に平均2回の前立腺針生検が行われ、54%は癌が検出されなかった。2名にupgradingが認められ、1名に根治的前立腺全摘除術が施行された。前立腺癌の局所浸潤や遠隔転移は認められなかった。テストステロン補充療法は短期間では前立腺癌の進展に関与していなかった。Low risk前立腺癌のLOH症候群患者ではテストステロン補充療法は再評価されてもよいかもしれない。
  • LOH症候群に対するテストステロン補充療法は前立腺発癌に関係しないことが定説となってきたが、適切な補充であれば、active surveillanceには問題ない、ということか。


(17)低テストステロンはハイリスク前立腺癌に関連する
Low pretreatment total testosterone (<3 ng/mL) predicts extraprostatic disease in prostatectomy specimens from patients with preoperative localized prostate cancer Xylinas E, et al.: BJU Int. 107:1400-3,2011
根治的前立腺全摘除術を施行された患者の治療前テストステロン値を測定し、病理組織学的所見と比較検討した論文。根治的前立腺全摘除術を施行された107名をテストステロン値3ng/mLでわけ検討した。テストステロン低値は high grade前立腺癌とpT3、pT4の局所浸潤の独立したリスク因子であった。
  • 生検時にテストステロンを測っておくことが、そろそろ日常臨床で必要だろう。


BPH/LUTS・OAB
(18)ビタミンCの過剰摂取はOABになる?
Intakes of vitamins and minerals in relation to urinary incontinence, voiding, and storage symptoms in women: a cross-sectional analysis from the Boston area community health survey
Maserejian, et al.: European Urology. 59:1039-47,2011
一般住民(30〜79歳の男女)5,506例を対象とした Boston Area Community Health(BACH)調査のサブ解析として、サプリメントの摂取と女性の排尿機能関連症状について検討した。ビタミンCの多量摂取を行なっている女性は混合性もしくは切迫性の畜尿症状を訴える頻度が高かった。食事からのビタミンC摂取が多いと、閉塞症状の頻度が少なかった。
  • ビタミンCには抗酸化作用があり、古典的なアンチエイジング作用が期待されていたが多量の摂取は逆に酸化作用がある。この論文ではビタミンCで尿が酸性化することで膀胱の上皮が障害されると考察しているが本当だろうか。


(19)スタチンは、BPHの発症リスクを少なくする。
Statin use and decreased risk of benign prostatic enlargement and lower urinary tract symptoms
St Sauver JL, et al.: BJU International. 107:443-450,2011
2,447名を対象としてスタチン製剤の使用とBPHと排尿症状の関連について検討した。スタチン製剤の使用によってBPHの新規発生頻度はハザード比0.39と低下することが示された。排尿障害の出現頻度の低下も認められた。スタチン製剤の投与によって6.5年から7年程度、BPHによる排尿症状の出現を予防できる可能性が示唆された。
  • 前立腺癌同様にスタチンにはBPHの予防効果がある。作用点がどこにあるのか、興味深い。


(20)LUTSは遺伝する
Genetic influences are important for most but not all lower urinary tract symptoms: a population-based survey in a cohort of adult Swedish twins
Wennberg AL, et al.: Eur Urol. 59:1032-8,2011
排尿障害は遺伝するか、20歳から46歳のスウェーデン人の双子42,582組について検討した。最も強く遺伝的要素が関与していると考えられた症状は、尿失禁、排尿回数、夜間排尿回数であった。OABは、遺伝的要素よりも環境的要素の影響が強かった。
  • 骨盤機能異常としての尿失禁や骨盤臓器脱は先天的、すなわち遺伝的素因が多いことが報告されている。
    Eur Urol. 54:918-23,2008



Men's Health
(21)骨太がテストステロンを作る!!
Endocrine regulation of male fertility by the skeleton
Oury F, et al.: Cell. 144:796-809,2011
性ホルモンは骨形成に関与しているが、臓器としての骨が生殖機能にどう関わっているかは明らかでなかった。骨芽細胞を精巣と共培養すると精巣からのテストステロン産生が高まることから、骨芽細胞が分泌するオステオカルシンが、GPRC6を介して、テストステロン産生に関与していることが明らかになった。
  • テストステロンが骨太にするのが常識だが、骨太がテストステロンを作っているとは恐れ入った。20年に1つのディープインパクトのある論文。


(22)テストステロン補充療法による心血管疾患のリスクの低減
Effects of testosterone undecanoate on cardiovascular risk factors and atherosclerosis in middle-aged men with late-onset hypogonadism and metabolic syndrome: results from a 24-month, randomized, double-blind, placebo-controlled study
Aversa A, et al.: J Sex Med. 7:3495-503,2010
加齢男性性腺機能低下(LOH)症候群の患者において、テストステロン補充とプラセボの無作為二重盲検プラセボ対照試験を行った。12ヵ月目の暫定解析で補充群はプラセボ群と比較してインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)、頚動脈内膜中膜複合体厚、および高感度C反応性タンパクの著明な改善を示した。テストステロン補充療法は空腹時血糖、ウェスト周囲径を減少し、動脈硬化の代理マーカーを改善した。
  • テストステロン補充で耐糖能は改善する。従来の内分泌療法に前立腺に作用しないアンドロゲン製剤(SARM)を組み合わせるオプションも今後出てくるかもしれない。


(23)テストステロン補充療法(ART)の身体組成、脂質、性機 能における効果
Treatment of 161 men with symptomatic late onset hypogonadism with long-acting parenteral testosterone undecanoate: effects on body composition, lipids, and psychosexual complaints
Permpongkosol S, et al.: J Sex Med. 7:3765-74,2010
加齢男性性腺機能低下(LOH)(ベースラインテストステロン<300ng/dL)を有する男性で、非経口テストステロン製剤を12ヵ月以上投与されていた100名について検討した。ARTは、ウェスト周囲径と体脂肪率の有意な減少に関与した。総コレステロールとLDLコレステロールは有意に減少したが、HDLと中性脂肪には変化を認めなかった。AMS、IIEF-5、IIEF-15スコアは有意に改善した。PSA中央値は0.950ng/mL(0.640-1.558)から1.480ng/mL(1.015-2.275)に上昇し、うち11名の患者で4ng/mL以上(4.01-13.21)の上昇を認めた。生検では悪性所見は認めなかった。LOHを有する男性におけるARTはメタボリック症候群、気分障害、性機能の改善につながった。
  • 国際的にARTの基準は320ng/dL程度が一般的になってきた。日本の基準(フリーテストステロン8.5pg/mL以下)との整合性を再検討すべきだろう。


(24)睡眠不足はテストステロンを下げる
Effect of 1 Week of Sleep Restriction on Testosterone Levels in Young Healthy Men
Leproult R, et al.: JAMA. 305:2173-4,2011
平均年齢24.3歳の10名のボランティアで、睡眠時間を10時間から5時間へ減少させて、テストステロンレベルと、活力度を検討した。睡眠時間の低下によりテストステロン値は平均530ng/dLから475ng/dLへ低下し、活力度スコアも減少した。
  • テストステロンは朝高く、夕方低くなる。睡眠中に回復することが知られている。睡眠障害はLOHになりやすい。当直明けは夕方になるとテストステロンが下がって判断力が落ちやすくなるので早く帰宅すべき。

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