VOL.31
遺伝子は幸せの違いがわかる
 
幸せの種類によって、活性化される遺伝子群に差が出ることを、
米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)と
米ノースカロライナ大学の共同研究グループが報告した。
この研究結果は、7月29日発行の米科学誌「PNAS」に掲載されている。

幸せには2種類あるといわれている。
1つは、
向上心や目的意識を持って生きている自分に生きがいを感じているときの幸せ
(eudaimonic well-being=「生きがい追求型」の幸福)、
もう1つは、好きなことをして欲求を満足させているときに感じる幸せ
(hedonic well-being=「快楽追求型」の幸福)。
どちらも「幸せ」であることは同じだが、
遺伝子はこの2つの「幸せ」の違いを厳密に区別して反応するようだ。

UCLAのSteven Cole氏らが、80人の健康なボランティアに、
どのようなことに幸せを感じるかという
(「生きがい追求型」か「快楽追求型」かの、幸せのタイプを問う)質問と、
うつ傾向をみるテスト、そして、被験者の血液を調べた。
その結果、
「生きがい追求型」よりも「快楽追求型」の幸せに幸福感を感じる人が多く、
「生きがい追求型」の幸福度が「快楽追求型」の幸福度を上回っていた人は
22%であった。
ただ、「生きがい追求型」の幸福度が高い人は「快楽追求型」の幸福度も
同様に高く、また、どちらのタイプも、
幸福度の高い人ほどうつ傾向が低いという結果が出た。
このように、幸福度という観点からは、両者にあまり差はなかったが、
被験者から採取した血液中のCTRA遺伝子を年齢、人種、飲酒、喫煙歴などの
影響を除外して調べたところ、
幸福のタイプが違うと遺伝子の構成も違うことがわかった。
CTRA遺伝子群は、炎症関連遺伝子群と、抗ウイルス・抗体遺伝子群とから
成り立っており、ヒトがストレスを感じたときには、炎症遺伝子が多く発現し、
抗ウイルスと抗体の遺伝子の発現は少ないことがわかっている。
「快楽追求型」の幸福度が高い人の遺伝子構成は、炎症関連遺伝子が多く、
抗ウイルス・抗体遺伝子が少なかった。
これは、ヒトがストレスを感じたときと同じ傾向を示すものだった。
反対に、「生きがい追求型」幸福度の高い人では、
ストレス状態と逆の傾向を示したのだった。
自分の欲求を満足させるだけの幸せよりも、生きがいをもつことや、
他人のことをまず考えることによって感じる幸せの方が、
身体に良い遺伝子の構造をとる。
このように、遺伝子は幸せのタイプを敏感に感じ取って、
遺伝子自身の構成を変えていくようだ。
A functional genomic perspective on human well-being
 
サイトマップ サイトポリシー プライバシーポリシー お問い合わせ