VOL.22
共感力とテストステロン
 
テストステロンが高いと共感力が低下する。

英国のケンブリッジ大学とオランダのユトレヒト大学の研究者らによって行われた新研究の知見によると、テストステロンと他人の感情を読む力には関係がみられ、そしてこれは、胎児期に浴びるテストステロン量に関係する、人差し指(第二指)と薬指(第四指)の長さの比にもつながるものだという。

この結果は、『米国科学アカデミー紀要』(PNAS)で発表されている。

他人の感情を読む力(読心力)は、共感力に通じるスキルの一つであり、男性に比べて女性のほうが、この能力が高いとされている。女性が男性よりテストステロン濃度が低いことが、この原因とする仮説を立てた。

そこで研究者らは、20-25歳の女性16人を集めて実験を行った。女性のボランティアに男性ホルモンを投与した後、「読心力」のテストを行った。このテストは、顔の写真、特に目や目の回りの表情を見て、「怒り」、「心配」、「疲労」、「活力」、および「憂うつ」の心の状態を推測するものだ。

また、女性に0.5mgのテストテロンを舌下投与させた群と、プラセボ群と比較したところ、テストステロンを投与した群は、他人への共感能力を減少させることを解明した。

そして研究者らは、人さし指(第二指)と薬指(第四指)の長さの比も、共感レベルの測定で重要な役割を果たすことも明らかにした。

人差し指が薬指より短いか、または両方の指が同じ長さか、人差し指が薬指より長いか。これからの違いは、子宮内でのテストステロン暴露レベルによって発生すると考えられる。

一方、自閉症では他者と共感する能力が欠如しているとされている。自閉症の発症ついては遺伝的要因も見つかっているが、今回の研究結果によって、胎児期に子宮内で暴露するテストステロンの量が関係している可能性も示唆された。

「少量のホルモンの違いが共感に広範囲な影響を及ぼすことになる」と、自閉症の専門家サイモン・バロン=コーエンは言う。更なる研究が期待される。

Testosterone administration impairs cognitive empathy in women depending on second-to-fourth digit ratio.
 
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