VOL.21
幸福は伝染する
 
「幸せ」についての研究は、
医学・経済学・心理学・神経科学・進化生物学など、
いろいろな研究分野から取り組まれている。
ただ、幸せと社会コミュニティー全体との関係、
特に「幸せ」がコミュニティーの中でどう広がっていくのかは、
これまでよくわかっていなかった。

そんな中、「幸せは伝染する」 という報告が
BMJ(4 December 2008)に発表された。
Framingham Heart Study social network で、
1983〜2003年の20年間4739人を追跡した調査結果によるものだ。

調査は、CES-Dというアンケートの中から
幸福感につながる以下の4つのitem scale
・将来に希望を感じる
・幸せだ
・人生を楽しんでいる
・他の人と同じくらい調子が良い
で測定した「幸福度」で判定された。
これをもとに、多岐にわたる社会ネットワークの寄与度と、
社会的つながりの広がりをみた。

その結果、幸福・不幸のclusterをネットワークの中で可視化すると、
幸福度の広がりは3段階(友達の友達の友達)にまで広がっていた。
多くの幸福な人に囲まれた人、ネットワークの中心にある人は、
将来幸福になる可能性が高い。
また、幸福の集まりは、幸福の広がりによってもたらされるもので、
単に同様な状況の人々が集まりやすいというものではないようだ。

ある人の友人が1マイル(約1.6km)以内に住んでいて、
その友人が幸福になった場合、
その人が幸福になる確率は25%(95%信頼区間[95%CI]:1〜57%)増加する。
同様な影響は、同居している夫婦(8%、95%CI:0.2〜16%)でも、
1マイル以内に住む兄弟(8%、95%CI:0.2〜16%)や
隣人(34%、95%CI:7〜70%)でも見られるが、
友人の影響が最も大きいことは注目に値する。

こうした影響は、仕事の同僚では認められない。
そして、時間の経過や地理的な距離によって薄れるという。

この研究から
1.幸せな人は幸せな人同士でつながっている傾向がある。
2.最大「3度の隔たり」までの人(友達の友達の友達)が
   幸せだと、自分も幸せである傾向が高い。
3.周りの友人が幸せだと、幸せになりやすい。
4.配偶者や親戚よりも、物理的に近くに住んでいる友人が幸せだと、
  自分も幸せになる 傾向がある。
5.職場の仲間が幸せだからといって、
  自分も幸せになるわけではない。
ということが示唆された。

論文の著者たちは、
「幸せは社会ネットワークとしての現象でもあり、人の幸福感は、
 つながりのある人(知人)の幸福感に依存する。
 これは、collective phenomenonを正当化する根拠となるだろう。
 悲しみも同様に伝えられはしたが、
 幸せのようにはつたわらなかった。」と述べている。

同様の現象は、肥満と喫煙行動にもみられる。
友人の行動が自分自身に与える影響は意外に大きい。
Facebook で1700のprofile写真を調査したところ、
笑顔の写真の友人には、
笑顔の写真の友人が多かったという結果もある。
特異的な行動や気分変調の広がりは
社会的ネットワークで広がっていくのかもしれない。

ただし、今回の研究は、あくまでも相関関係であり、
因果関係まではわかっていない。

今後の研究に期待したいところだ。



Dynamic spread of happiness in a large social network: longitudinal analysis over 20 years in the Framingham Heart Study
 
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