Vol.2
LOH症候群とは?
<テストステロンって何?>
誰でも、気が滅入ったり、落ち込んだり、何かするのがおっくうになったり、
からだのあちこちが痛かったりします。
たいていはそういう症状は一時的で、数日でこういう感じはなくなりますが、
数週間も続いているときには健康が損なわれている可能性があります。
最近はからだや気持ちの不調を、女性の更年期にたとえて
男性更年期障害とも呼ぶようになりました。
男性が経験しやすい症状をまとめておきましょう。



何千年もの歴史を持つ東洋医学では、活力の場を[腎]と呼び、
(現在の腎臓とは異なります)
活力がなくなってしまう状態を[腎虚]と呼びました。
男性の大厄は42歳ですが、
特にこの腎虚になりやすい年齢といわれています。

この男性更年期障害や腎虚の原因として、
テストステロンと呼ばれるホルモンが減ることがわかってきました。
テストステロンは男性では主に精巣(睾丸)でつくられます。
男の子が思春期を経ておとなのオトコになるためには
このテストステロンが必要です。
筋肉や骨ががっしりし、ひげや恥毛が生えてくる、
これはテストステロンの作用であることから、
テストステロンは男性ホルモンと呼ばれています。
テストステロンはからだのほとんどの細胞に働き、
さまざまな作用があります。
子孫を残す性機能、血管の健康を保つ機能、ミトコンドリアを保護する作用、
あたまの働きをよくし、やる気を出す作用があります。
最近の研究ではテストステロンは公正さを判断することにも
関係するといわれています。
このホルモンが高いと、
より公正にものごとをとらえるといわれています。

このテストステロンは女性でも副腎や脂肪でつくられ、
実は女性ホルモンと呼ばれるエストロゲンよりも
はるかに多くの量が働いています。
月経、妊娠、出産といった女性特有の生命現象にはエストロゲンが必要ですが、
それ以外の領域でテストステロンは女性にも基本的な作用があると考えられます。

実際にからだのなかで有効に働いているテストステロンの量を唾液で調べると、
女性の平均は男性の約1/3と意外に多いことが分かります。
つまり女性には男性よりも働いているテストステロンが多い人
(男勝り、というのでしょうか)が結構いることになります。
男性でテストステロンが減るのは、
精巣の機能が十分でないことから、性腺機能低下症と呼ばれます。
性腺とは生殖活動に関係する臓器のことで男は精巣、
女は卵巣が該当します。
このテストステロンは加齢によりからだから出る量は
20歳代をピークに低下していきます。
この理由としては、精巣の機能が老化により衰えることが考えられます。
この加齢に伴う性腺機能低下症を英語ではlate onset hypogonadism syndromeと言い、
略してLOH 症候群と呼ぶようになりました。

さて、女性の更年期は、子供を産む生殖機能が終わりになり、
女性ホルモンが卵巣から分泌されなくなることが主な原因です。
実はこの更年は深い意味があり、changeするということ。
女性は実は女性ホルモンの影響が少なくなり、
男性ホルモンがより強く働くようになるのです。
誤解を恐れずに言えば更年期を経て
女性はより「男性」的な判断、行動をするようにchangeするということです。
更年期はこの変化をするまでのトンネルのようなものなので、一時的ともいえます。
男性ではテストステロンが下がるLOH症候群は、時間がたてば治るかと言うと
そういうことはなく、下がる一方です。
ですから男性は[更年期]と言っても、changeする先がない、
ということになります。
ですから正しい意味で言えば、男性にも更年期症状がある、
しかし男性の「更年期」は一時的なものではない、
ということになります。

<LOH症候群はキケン>
このLOH症候群は実は男性にはかなり多いことが分かってきました。
軽いものも含めて40歳以上の男性では約600万人が該当するといわれています。
海外では大規模な住民調査が行われていて、アメリカの調査では
60歳以上の19%、70歳以上の28%、80 歳以上の49%が
該当するといわれています。

このLOH症候群が最近注目されてきたのは、
テストステロンが減ることで生きがいが減ったり、
仕事がうまくいかず、また社会に適応できなくなってしまうという、
男性の人生に大きな問題となること、
さらにいろいろな病気と関連することがわかってきたからです。
たとえば、LOH症候群があるひとを追跡調査すると、
テストステロンが高い人よりも寿命が短く、また、がんや、
心臓の病気、糖尿病、メタボにもなりやすいことが分かってきました。
これらの病気は生活習慣病と言われていますが、
食事の量や質と運動習慣だけでなく
テストステロンが低いことが危険性を高めます。
LOH症候群では人生にハリがないうえに病気になりやすくなるということで、
男性にとってはもっとも恐ろしい病気といっても過言ではありません。

<LOH症候群じゃないだろうか?>
女性はほとんどすべてのかたが大なり小なり更年期を自覚しますは、
男性は自覚する方はわずかです。
しかし本人は気がつかないけれどもご家族から見て
・がんこになった、
・いらいらしやすい
・趣味にうちこめない
・外出がおっくうになった
という場合は軽い症候群のことがあります。
LOH症候群かどうか見分けるには大事なサインがあります。
男性は起床時に勃起していることに気がつきます。
LOH症候群で一番簡単なチェック法は、
この現象に注意してみることです。
1月間、この現象がないという場合はLOH症候群の可能性が高いといえるでしょう。
逆にこの起床時の勃起現象はOKというときには症状の原因は
LOH症候群でない可能性が高いです。

男性更年期障害問診票(表3)
は世界的につかう問診表ですが、あてはまる症状が1月続くとき、
LOH症候群が疑われます。
特に合計点が50点を超える場合は専門医の診察をおすすめいたします。

<LOH症候群の治療>
LOH症候群の症状があり、テストステロンが下がっていると治療が必要です。
テストステロンが下がる原因には、ストレスが重要です。
自分のまわりの環境、特に仕事のストレスを振り返り、
仕事量が過剰でないか、見直す必要があります。
40歳を越えてくると個人差はありますが、
若い時のように長い時間仕事をすることは難しくなります。
また通勤時間が長く、かつ仕事が終わる時間が遅い、という場合は
週の半ばでも会社の近くに宿泊して疲れをとることもときに有効です。
またテストステロンは通常朝が高く、夕方は低くなります。
決断をしたり集中するのには朝がよいといわれるゆえんです。
低くなったテストステロンは睡眠中に上がっていきます。
したがって、睡眠時間が短いと
テストステロンはさがったままということになります。

症状が重い場合には減っているテストステロンを補充する治療を行います。
保険医療では注射が用いられます。
2−4週間ごとに注射を繰り返します。
軟膏やゲルを使用するところもありますが、保険対象外です。
通常3カ月以内に効果が出てきます。
症状が軽い場合は、漢方薬も特に高齢の方では有効です。
また勃起不全(ED)のかたに処方するPDE5阻害薬という薬剤
(バイアグラなど)がテストステロンをあげることを
われわれは世界に先駆けて発見しました。
性行為に関係なく、PDE5阻害薬を服用することも有効なことがあります。

<LOH症候群を予防するには>
40歳から60歳は男性の人生の実りの時期、
そして60歳以降は豊かな老後を過ごしたいもの。
LOH症候群は知らず知らず、男性の健康と人生を損なってしまいます。
LOH症候群の予防には、拙著[ホルモン力が人生を変える]【小学館新書】
の男性ホルモン値を上げる10カ条を参考ください。

<男性ホルモン値を上げる10カ条>
1. 男性ホルモンの大敵、交感神経の緊張を和らげよう!
2. 積極的に副交感神経を活性化しよう!
3. 食事を大切に!
4. 忙しいときこそ短時間でエクササイズ!
5. 良い睡眠をとろう!
6. 仲間を大切に!
7. 無理しておしゃれをしよう!
8. 凝り性になろう!
9. 大声で笑おう。
10. 目標を持とう!冒険をしよう!!わくわくしよう!!!

参考
男性更年期障害とは
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