もっと知ってほしい「泌尿器がん」のこと −キャンサーネットジャパン−
掲載日 2009-01-19

 2008/12/14、東京ウィメンズプラザにて『もっと知ってほしい「泌尿器がん」のこと』というタイトルで、CNJがん医療セミナーが開催された。
CNJ柳澤昭浩事務局長による開会のご挨拶に始まり、筑波大赤座先生が「泌尿器科で診断・治療されるがん:ここが重要」で泌尿器科のがんについて全般のお話をされた後、精巣腫瘍については筑波大の河合先生、前立腺がんは千葉大の市川先生、尿路上皮がんは筑波大の宮永先生、腎がんは帝京大の堀江先生が、それぞれ講演された。また、プレゼンテーターとしてTBS報道局開設室の小嶋さんがご自身の体験を含めたお話をされ、CNJ吉田理事長の閉会の挨拶でしめくくられた。
(各講師の先生方のご講演内容は、CNJビデオライブラリーにて閲覧が可能ですのでご参照下さい。)

<「腎がんの予防・診断・治療と今後」 〜帝京大学医学部泌尿器科学 堀江重郎〜>
腎臓は、刻一刻尿をつくっているという実感がないこともあり、比較的沈黙しやすい臓器と言われますが、血液をろ過して尿をつくる、老廃物を尿の中に排泄するほか、ホルモンを分泌する内分泌器官であり尿路に関連する重要な臓器です。また、血圧、塩分、ビタミン、ホルモンの調節や、血液を増やす物質もつくっている多才な臓器ともいえます。
腎臓がんの発症は50歳以降に多くみられ、男性は女性に比べて2倍程度多いことが特徴です。年間1万人ほどの方が発症し、3000人くらいの方が腎臓がんで亡くなっています。また、地方によって罹患率が異なり、東北地方や北海道で多く九州地方で比較的少ないことから、日照時間や寒さ、塩分摂取が影響しているのかもしれません。また、世界的にみても北欧に多いことから、やはり日照時間、ビタミンDなども影響すると考えられます。実際にビタミンDは腎がんに対して抑制的に働くという研究発表もあります。また乳製品の摂取にも関連があると言われています。
腎がんをご自身で発見される場合は、血尿か疼痛が主な症状となります。また、超音波検査や、他の検査をした時にたまたま見つかることもあります。腎臓は身体の深いところにある臓器のため症状が現れにくいものの、早期(分類の鬼)であれば、5年生存率は99%となっています。腎臓がん全体の5年生存率は60%ということからもわかるように、早期発見が大変重要となります。
 腎がんのリスクファクターは、喫煙と肥満と高血圧です。1日10本以上タバコを吸う方はリスクが2倍以上、肥満ではBMIが30以上の方は4倍、高血圧ではリスクが2倍となります。ですから、タバコを吸って肥満で高血圧の方は要注意です。リスクファクターの原因としては、活性酸素が考えられます。毒物や紫外線などが身体に入ると遺伝子を障害します。現在のところ、適度な運動と、適切な食べ物を選ぶということが重要だといわれます。また、カロリーを摂り過ぎないことも大事です。
 腎がんを分類する場合、腫瘍の大きさと位置から進行度を判定します。TNM分類が国際的な分類で、Tは腫瘍(Tumor)、Nはリンパ節(lymph nodes)、Mは転移(metastasis)を表しています。Tの場合、7cmがT1なので、腎がんは比較的大きくても治りやすいため、他のがんのように5年で終わりではなく、もう少し長期にわたって定期的に診察を受ける必要があります。
 治療については、手術と薬物治療の2つに分かれます。薬物治療では、サイトカイン療法と分子標的治療薬による治療があります。基本的には手術が出来る場合は手術をし、その後、薬物治療に移ります。手術には、腎臓全摘と温存、また、開腹と腹腔鏡手術の選択肢があります。薬物治療のサイトカイン療法は、腫瘍細胞に対して身体の応答力を高め、免疫細胞を活性化することにより10%の方に5ヶ月くらいで奏効するといわれます。インターフェロンの効果は、良く効く場合もありますが全ての方に有効であるとはいえません。また、分子標的治療薬についても同様なことがいえます。腎臓がんは、血管をつくりやすいがんですが、そこを特異的に抑えるのが分子標的治療薬であり、腫瘍の血管をつくらない、また、ガンの増殖を抑えることを特徴としています。さらに朗報としては、海外よりも日本人のほうが良く効くという結果もでてきています。

<Q and Aセッション>
Q。分子標的治療薬はどの程度患者のためになっているのか
A。腎臓がんの分子標的治療薬は本年(2008年)に認可がおり、ようやくスタートしたところです。どのような効果があるのか、メリットと副作用をみながら、患者さんにとって最も良い治療を行っています。従来の治療薬でも大変良く効くものもあるので、分子標的治療薬が全てではなく、やはり患者さん一人一人の状態に合わせた治療をしていく中で、ここから評価が始まると考えています。

<最後に一言>
男性は日々の忙しさもあって、女性よりも医療機関へのアクセスが悪い。腎がんなどは超音波検査を少しやればすぐにわかるものでもあり、また、触れればわかるようなことでも、放っておいたためにかなり進行してしまうことがあります。是非、早期診断をこころがけるようにして下さい。

[文責:UROLOGIST編集部]


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